「副業20万円以下は確定申告不要」の勘違い(3)
2016年03月07日
こんにちは。名古屋の税理士 米津晋次です。当ブログでは数回前から「副業20万円以下は確定申告不要」制度について
多くの人が勘違いしている内容を指摘しています。
確定申告期限の3月15日まで1週間ほどになりましたので、
もう確定申告を済ませた方も多いとは思いますが、
確認の意味でもこの
「20万円ルールの勘違い(3)」
をご覧ください。
※「20万円ルールの勘違い(0)」から「20万円ルールの勘違い(2)」もご確認ください。
(このページ下にリンクが設定してあります。)
■会社役員の勘違い
・会社へ個人所有の土地を駐車場と貸している
とか、
・会社へお金を貸したことに対する利子をもらった
ということはありませんか。
家族で会社を経営している同族会社の役員さんも、
会社からもらう役員報酬は、所得税ではサラリーマンと同じ「給与所得」の扱いです。
したがって、上記は金額的には「20万円ルール」が適用になって所得税の申告は要らなそうですね。
ところが、対象外なのです。
同族会社の役員が、その同族会社から役員報酬のほかに貸付金利子や不動産賃貸料などを受け取っている場合には、
たとえこれらの所得金額が20万円以下であっても確定申告が必要になります。
さらに、その役員だけでなく、その家族も対象にはなりません。
どうして対象にならないのでしょうか。
簡単に言えば、「20万円ルール」を利用して税金を少なくしてしまうからですね。
たとえば、会社が役員から借りている金額に対して10万円の利子を支払えば、
会社側は10万円を必要経費(損金)とすることができます。
一方、役員が受け取った利子10万円に「20万円ルール」を適用して申告不要となれば、
所得税はかかりません。
全体で見れば、会社は税金が少なくなって、役員の税金は増えないということになります。
このようなことを全国の同族会社で行われれば国の税収が少なくなってしまいます。
節税の手段として会社が利子を支払った場合は、せめて役員側で課税をしようということです。
ところで、この貸付金利子ですが、所得税の確定申告を忘れがちです。
会社が税務署に申告書と一緒に提出した「科目の内訳書」にしっかり記載されています。
忘れると税務署から指摘がありますので、そういえば・・・・という方、
申告もれがないようにもう一度確認しましょう。
■高額収入の方の勘違い
高額な給与をもらっている方も注意が必要です。
自分もサラリーマンなんだから「20万円ルール」は適用になるはずだ、と思いがちです。
しかし、「20万円ルール」は「年末調整したサラリーマン」のみに認められている確定申告不要規定です。
給与の年間収入金額が2,000万円を超えている方の場合は、年末調整の対象外になっています。
したがって、そのような高額収入の方には「20万円ルール」は適用されません。
副業の所得がわずかであっても、その所得を申告しなくてはなりません。
給与収入2000万円を超えている高額収入な方にまで、恩恵は与えないということでしょう。
■20万円の勘違い
「20万円ルール」の20万円は、どのような金額でしょうか。
21万円の収入があったら「20万円ルール」に該当しないのでしょうか。
いえ、20万円は原則、収入ではなく所得の金額で判定します。
といっても「所得」って普通の方にはわかりにくい言葉ですね。
利益といった方がわかりやすいでしょうか。
・所得(利益)=収入−必要経費
ただ、副業の給与がある場合には、次のような判定になっています。
・「副業の給与収入金額」+「給与所得及び退職所得以外の所得の金額」の合計額が20万円を超えるかどうか
副業が給与収入だけの場合はら、給与収入が20万円を超えるのかどうかで判定ということになります。
■ 20万円ルールの勘違い(3)のまとめ
(誤)同族会社から受ける賃貸料等の収入にも、副業の所得が20万円以下なら副業はの申告はいらない
(正)同族会社から受ける賃貸料等の収入が少額でも、申告が必要である!!
(誤)給与収入2000万円を超える場合も、副業の所得が20万円以下なら副業はの申告はいらない
(正)給与収入が2000万円を超える場合は、副業の所得が少額でも申告が必要である!!
・「副業20万円以下は確定申告不要」の勘違い(0)
・「副業20万円以下は確定申告不要」の勘違い(1)
・「副業20万円以下は確定申告不要」の勘違い(2)
【投稿者:税理士 米津晋次】
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