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2015年12月

12月末まで→大至急チェック!:株式売却益

2015年12月23日
こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。


さて、最近はこのブログで、12月中にチェックすべきこと、というテーマでブログを書いています。

前回のNISAに引き続き、株式についてのチェックをしてください、という内容です。






■株式売却益には20%の税金がかかる

個人の場合、1年間の株式売却益については、20%(所得税15%、住民税5%)の税金が課税されます。

あなたの今年の投資成績はいかがだったでしょうか。

とても儲かった?それはすばらしいです。

でもこのままだと20%の税金がかかってしまいますね。

もちろん、そのまま税金を払うことで国に利益のお裾分けをしても全く構いません。

でも、多くの人は、その税金を何とか安くしたいなあ、と思いますよね。


■今年まだ間に合う節税方法とは?

そんな場合には、今年まだ間に合う節税方法があります。

それは、売却損と相殺をすることです。

現在保有している株式で、含み損をもっているものはありませんか?

もしあれば、そのまましばらく保有するのではなく、12月中に売却してその含み損を吐き出し、

今年の売却益を相殺させることができれば、節税につながります。

たとえば、今年の売却益が100万円あったとしましょう。

このままだと、100万円×20%の20万円の税金がかかります。

20万円っていっても大金ですよね。

一方、残念ながら値下がりして、売るに売れない株式も保有していて、
その含み益が30万円あるとしましょう。

この含み損を抱える株式を12月中に売却して売却損30万円を出します。

そうすれば、課税される売却益は、今までの売却益100万円−今回の売却損30万円=70万円になって、

売却益に対する税金は、70万円×20%=14万円。

そのまま含み損を抱えた株式を保有するよりも6万円も税金を少なくすることができます。




■でもその株式手放したくない・・・

その含み損を抱える株式を手放しなくない場合もありますね。

・その売却した株式が今後は値上がりの見込みがある

とか、

・魅力的な株主優待があるのでまた所有したい、

とかいう場合です。

そのような場合でも、一度今年中に売却して、その後買い直せばいいのです。







■この節税対策の注意点

この売却益と売却損を相殺する節税方法ですが、注意点があります。

(1)株式は市場で売却する

株式は東京証券取引所などの市場で売却する方法以外にも、相対で売却する方法もあります。

しかし、この節税策では市場で売却するようにしてください。

相対取引では、売買価格を操作することが可能です。

税務署に怪しまれる可能性が高いです。

市場で売却すれば、操作することのない相場で売却したことになります。


(2)買い戻す場合は、クロス取引はしない

同日に同じ数量の売りと買いを同時にする「クロス取引」というものがあります。

このようにすれば、売却損の実現をしながら、実質は保有していたとほぼ同じ状態を続けられることになります。

売却後少し日数をおいてから買い戻すと、もしかしたらその間に株価が大きく動くことだってありますから。

でもこのクロス取引。おすすめしません。

第1の理由は、税務署が文句をつけてくる可能性があるからです。

実質的に保有していると同じだから、クロス取引はなかったものとみなす、という理屈です。

そして第2の理由

現物株についてこのクロス取引を自分でネット証券などでやると失敗します。

「保有していた現物株を売る」→「売った株を現物で買い戻す」という順番でやったつもりでも、

現物株の場合は、証券会社の内部システムでは、「買い」→「売り」の順番に勝手に変更されるそうです。

つまり、含み損を抱えた株式は、まず追加購入になって、売却したことになってしまうのです。
そのように順番が変わると、取得価額は平均で計算しますので、売却損が少額になってしまい、
含み損を吐き出す効果が大きく下がってしまうからです。

例)株価1000円で購入した株式1000株(取得価額100万円)のA社株式の株価が500円に下がっていたので、売却損を実現するため売却した。

■通常:売却(500円−1000円)×1000株)=売却損50万円

■クロス取引失敗例

・まず買いが発生→50万円(500円で1000株)で購入により、
 取得価額150万円で2000株の保有となる。(平均取得価額=150万円÷2000株=750円)

・次に売りが発生→500円で1000株売却により
 (500円−750円)×1000株=売却損25万円となって売却損が半減する。

クロス取引でなくても、同日に時間をおいて売りと買いをしても同じ計算方法になるという情報もあります。

※これらは、ネット上で拾った情報ですので、正しい情報との確認は取れていません。
取引のある証券会社へご確認ください。

したがって、買い戻すのは売却の翌日以降にするとよいでしょう。


(3)12月25日までに売却する

「今年中に売却」と書いていますが、今年の市場で取引される最後の日=大納会は例年12月30日です。

12月31日に売却しようと思っても、その日は市場は開きません。

それだけではありません。

株式の場合、税制上は引き渡し日が売却した日の基準となります。
また、株式の売却約定日から記載して4営業日目が引き渡しとなっています。

12月25日取引分の引き渡し日は、12月28日。
12月26日取引分の引き渡し日は、12月29日。
12月27日取引分の引き渡し日は、12月30日。

つまり、12月27日までの取引が今年分の売買とされ、
12月28日以降の取引は、翌年の売買とされてしまいます。

この間に休日が入れば、12月27日では翌年分になってしまいます。

つまり、12月中に購入といっても、実際には12月25日ぐらいまでに購入する必要があります。


(注)一般口座の場合は、確定申告の際に売却日を引渡し基準ではなく、約定日基準での選択も可能です。(所得税基本通達36−12)



※関連ブログ記事
12月末までにチェック!:ふるさと納税

12月末までにチェック!:NISA


【投稿者:税理士 米津晋次
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