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2016年05月
熊本地震への義援金は堂々と寄附金控除等を受けるべき
2016年05月02日
こんにちは。名古屋の税理士 米津晋次です。
GWはいかがお過ごしでしょうか。
さて、
平成28年4月に発生した「平成28年熊本地震」で被害に遭われた方には、お見舞い申し上げます。
このGW中もボランディアとして活動されている方には、とにかく頭が下がりますが、
多くの人は諸事情でなかなかボランディアとしての活動は難しいところです。
そんな方にとって、被災者に少しでも支援をしたいという想いを実現する方法としてまず思い浮かぶのは、義援金ですね。
【税の優遇を考えた寄附は不謹慎?】
こうした被災者に対する義援金を支払う際には、事前に税金の扱いを確認しておきましょう。(以下個人が寄附金を支払った場合について記載します。)
税金の優遇を考えた寄付に対しては、不謹慎という考え方もあるかもしれません。
一部芸能人が今回の被災者へ寄付しただけで、ネット上で「不謹慎狩り」に遭っています。
しかし、税金のメリットを考えてでも支援の行動を起こした方が支援しないよりはずっといいのではないでしょうか。
また、支援をした人も税金優遇制度を活用することで、負担が軽減されます。
そもそも、このような目的で寄附金控除等の税金優遇制度が設けられているのですから。
支援をした人が後ろめたい気持ちで税金の優遇制度を受けるなんておかしいです。
義援金を支払った方は、堂々と税金の優遇策の適用を受けましょう。
【義援金名目の詐欺的な募金集めに注意】
なお、インターネットや街頭などで被災者への義援金を受け付けているとしながらも、実際には送金しない詐欺的な場合もあるようです。
そんなところへ寄付しても支援の想いは届きません。
逆にいえば、税金の優遇を受けられるところへの義援金は、間違いなく被災者の皆さんへ届けられるという証明にもなるのではないでしょうか。
【税の優遇を受けられる寄附金】
個人が、義援金を支出した場合には、その義援金が「特定寄附金」に該当するものである場合には、寄附金控除の適用を受けることができます。(所得による限度あり)
次の義援金が「特定寄附金」に該当します。
1 国又は地方公共団体に対して直接寄附した義援金
2 寄附した義援金が、募金団体を通じて、最終的に国又は地方公共団体に拠出されることが明らかであるもの
具体的には、次への支払いなどが該当します。
・熊本県下や大分県下の災害対策本部
・日本赤十字社の「平成28年熊本地震災害義援金」口座
・テレビ局、新聞社など報道機関が設けた義援金口座
また、認定NPO法人や公益社団法人・公益財団法人・社会福祉法人へ支払った義援金は、寄附金控除(所得控除)又は寄附金特別控除(税額控除)のどちらかを受けることができます。
【被災者の元に届くのに時間がかかる特定寄附金】
地方自治体や報道機関が集めた義援金は、日本赤十字社を通じて被災者一人一人に公平かつ平等に配られるお金です。
配分方法が決定し、実際に義援金が被災者に届くのは災害からかなり経ってからになります。
東日本大震災の時には、10ヶ月かかったそうです。
【NPO法人への支援金は早く被災者に届くが「認定NPO法人」に該当するかを確認】
それに対して、NPO法人等が独自に集めている寄附金(「支援金」ともいう)は、特定寄附金のような手続きが不要ですので、支援金が被災者に早く届くというメリットがあります。
問題は、信用できるNPO法人かどうかです。
また、NPO法人に対する支援金は、税の優遇が受けにくくなっています。
救援活動をしているNPO法人へ支払った場合でも、そのNPO法人が「認定NPO法人等」に該当しない場合には、寄附金控除や寄附金特別控除の対象にはなりません。
事前に認定NPO法人に該当するかを確認しましょう。
もちろん、その活動趣旨に賛同した場合等には、寄附金控除等が受けられなくてもその団体へ寄付することは構いません。
【確定申告で提出または提示が必要な書類とは】
個人が確定申告で寄附金控除等の適用を受けるには、次の書類を確定申告書に添付又は確定申告書提出の際に提示する必要があります。
・熊本地震対策本部や義援金配分委員会等が発行する受領証
・金融機関等で支払った場合の振込票等の控え(その振込口座が義援金の受付専用口座である場合に限ります。)
・募金団体の預り証
募金団体の場合には、募金要綱、募金趣意書、新聞報道、募金団体のホームページの写しなど、義援金を振り込んだ口座が義援金の受付専用口座であることが分かる資料を保存しておくと間違いないでしょう。
来年2月3月の確定申告時ではなく、今のうちからこれらの資料を準備しておきましょう。
国税庁では、「義援金に関する税務上の取扱いFAQ」を公表しています。詳細はそちらを参照されてください。
https://www.nta.go.jp/kumamoto/topics/saigai/pdf/joho03.pdf
【ふるさと納税を使って寄付する方法もいい】
寄付に対する返礼品ばかりに注目が集まっている「ふるさと納税」ですが、この制度を使って、直接支援したい市町村に寄附金を届けるのもいい方法です。
ふるさと納税をする際には、寄附金の使い道の選択ができます。
熊本県嘉島町のように、「平成28年熊本地震」被害復興のための緊急寄附申込みフォームを設けているところもあります。
→「<<コラム>>ふるさと納税の落とし穴に注意を(その1)」
→「<<コラム>>ふるさと納税の落とし穴に注意を(その2)」
→「ふるさと納税を一緒にやってみよう(準備編)」
→「ふるさと納税を一緒にやってみよう(実践編)」
【投稿者:税理士 米津晋次】
※当ブログの記事は、投稿日現在の税制などに基づいております。その後改正があった場合には、ブログの記事が最新の税制に適合していない場合もございます。 また、当サイトのコンテンツについては、正確性の確保に努めてはおりますが、いかなる保証をするものではなく、弊所は一切の責任を負わないものとします。 したがって、当サイトのご利用については、自己責任で行っていただくようお願いいたします。(税理士 米津晋次)
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名古屋市の住民税通知がやっと個人情報保護に対応
2016年05月24日
こんにちは。名古屋市緑区の税理士 米津晋次です。会社には、社員さんの住所がある市町村より、6月からの住民税を給与からいくら引くかの通知が届いているころです。
私の税理士事務所にも、いくつかの市町村から住民税の通知が届いています。
以前は、どの市町村からの通知も、住民税額だけでなく、
社員ごとにどの所得がいくらで、控除がなにがあって・・・住民税額がいくらになる、
というように、社員さんの所得情報がほとんどわかるようになっていました。
※確定申告の際、「給与所得以外の住民税を自分で納付する」にチェックをすれば、それは会社に通知されませんでした。
つまり、会社には住民税額さえ通知すればいいのに、個人情報がダダ漏れ状態でした。
給与計算業務をしていると、いろいろは市町村の住民税の通知を見ることができます。
5年ほど前までに多くの市町村は、この不要な個人情報を会社に通知していることに気づいたのでしょう。
会社へは、住民税額のみを通知し、社員には、シール状になって中が見えない様式になりました。
しかし、いうまでもなく大都市である名古屋市は、昨年まで依然として個人情報を会社に通知していたのです。
今頃の給与の際に、住民税の計算明細をもらったと思いますが、
中身が丸見えの状態だったと思います。
ところが、先日届いた名古屋市からの住民税の通知で、やっとほかの市町村並みになりました。
つまり、住民税額以外の情報は会社に通知しないようになったのです。
社員さんには、住民税の計算がわかるように、写真のような中が見えないシール付きの通知書になり、本人以外は所得情報等がわからなくなりました。
切替が遅いですよね。
これで喜ぶのが、副業をしている人たちです。
マイナンバーのときも、副業が会社にバレるのではないか?とインターネット上でかなり話題となりました。
たとえば、平日はA社に勤務し、休日にはB社で働いているような場合、
A社からの収入も、B社からの収入も給与所得ですから、副業がバレないように確定申告でB社分の収入に対する住民税だけを自分で納付することができません。
その結果、名古屋市からのA社への住民税額の通知の際、A社分とB社分の給与が合算された金額が表示されていました。
もし、A社が、副業チェックのためにA社での給与と通知書の数字が一致するかのチェックをしたとすると・・・
A社だけの金額より多い金額が記載されていますから、副業をしていることがバレてしまうことがあったのです。
(B社で働いていることは通知されません。)
それが、今回のようにA社へは住民税額だけの通知になれば、副業がわからづらくなりました。
ただ、副業のB社での収入があまりに多いと、住民税額がほかの社員と比較してかなり多くなりますので、疑いを持たれることにはなります。
会社の規定に違反して副業をすることは、確かに良くないことですが、何らかの事情でA社からの給与だけでは足りなければ、それも仕方がない面があります。
今回の名古屋市の対応は、そんな方たちにとっては朗報なのではないでしょうか。
もちろん、個人情報保護の観点で良くなったということが先ですが・・・
【投稿者:税理士 米津晋次】
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