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2019年05月

消費税軽減税率について、イートイン/テイクアウトの飲食設備の考え方

2019年05月31日
ハンバーガーなどのファーストフード店や、喫茶店・コーヒーショップなどは、イートイン(店内飲食)とテイクアウト(持ち帰り)の両方行っているお店が多くあります。

2019年10月1日からは、消費税では、テイクアウトの場合のみ軽減税率8%が適用されます。

イートイン(店内飲食)の場合は、消費税軽減税率の適用がなく、消費税率10%が適用になります。

このイートインとテイクアウトの区分は、どのようにおこなうのでしょうか。

今回は、その区分の考え方について説明します。


イートイン(店内飲食)の定義



消費税軽減税率が適用されない「イートイン」とは、次のいずれの条件も満たすものをいいます。

◆場所要件


事業者が、顧客に飲食させようと考えている飲食設備(テーブル、椅子、カウンター等)がある場所である。

◆サービス要件


顧客に飲食させるサービスの提供を行っている。


「飲食設備」の考え方の基本



「イートイン」の条件の一つである、椅子・テーブルなどの飲食に用いられる設備(「飲食設備」)とは、具体的には、どのようなものをいうのでしょうか。


具体例



◆屋台


屋台では、その近くに自分でテーブルや椅子等を設置し、お客様に食べてもらいます。
そのテーブルや椅子等は、飲食設備に該当し、軽減税率は適用できません。

屋台の中には、テーブル等を自分で設置せず、近くの公園などのテーブルやベンチで食べてもらうこともあるでしょう。

テーブルや椅子などの利用について、その公園を管理をしている所から許可を得ている場合は、自分で設置した設備でなくても飲食設備に該当するものとされ、軽減税率の適用はありません。

それに対し、公園を管理している所から許可を得ず、誰でもテーブルやベンチを自由に利用できる場合は、飲食設備に該当せず、軽減税率が適用されます。


◆階段脇のベンチや通路のベンチ


ショッピングセンターなどには、休憩を主目的としたベンチが、階段脇や通路に設置してあるケースが多く見受けられます。

このような階段脇や通路のベンチは飲食設備に該当するのでしょうか。

実は、階段脇や通路のベンチなどの設備であっても、飲食に利用することができれば、休憩用目的に設置しようが、そのままでは飲食設備と判定され、軽減税率が適用されません。


◆フードコート


フードコートは、ショッピングセンターなどにテナントとして入っている複数の飲食店の前に、ショッピングセンター等が共通の飲食用テーブルや椅子、カウンターなどの設備を設置し、お客が食事をすることができる形態のことをいいます。

フードコートが普通の飲食設備と異なるのは、食事を提供する飲食店と、テーブルや椅子などを設置した業者が違うことです。

しかし、このような場合であっても、飲食店とショッピングセンター等の両者が合意のもと、食事をする設備としてテーブルや椅子、カウンターを設置し、お客に飲食させている場合も、飲食設備に該当し、軽減税率の対象外となります。


◆カラオケ店


カラオケ店は、カラオケができる場所を提供することを主としています。
カラオケができる場所を提供するだけではなく、ほとんどのカラオケ店では飲食も提供されていて、カラオケボックス内のテーブルで飲食することが可能になっています。

そのため、いくらカラオケが主でも、カラオケ店でのテーブル等は、飲食設備と判定され、軽減税率は適用されません。


◆オフィス街での弁当移動販売


オフィス街では、移動販売で弁当を売る業者も多くあります。
それらは、飲食用のテーブルや椅子を自分で設置していません。

オフィスへの持ち帰りが多いからです。

したがって、移動販売で設備を設置しない場合は、軽減税率が適用されます。


飲食設備に判定されない方法


飲食できないことを明確にした休憩スペースなら、「飲食設備」には該当しません。

その場合に、飲食できないことをどのように明確にすればいいのでしょうか。

◆飲食禁止の掲示


たとえば、「飲食禁止」などの掲示を行っていれば、飲食できないことを明確化していることになります。

◆実際に飲食させない


ただし、「飲食禁止」などの掲示を行っているものの、実態として飲食が行われている場合は、飲食設備に該当するとみなされます。

したがって、実際には、「飲食禁止」などの掲示を行うだけでは不足で、実際に飲食している人に注意するなどして、休憩スペースで飲食をする人がいない運営も必要になります。


まとめ


消費税軽減税率が適用されないイートインに該当するのか、軽減税率が適用されるテイクアウトに該当するのか、その線引はなかなか困難です。

今回の記事を参考に、その区分をしっかりしてください。

特に、飲食させない休憩スペースがある場合には、それが飲食設備と判定され、軽減税率が適用されないことの内容に、準備しましょう。

【投稿者:税理士 米津晋次
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