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2021年05月22日

短期退職の退職金について課税ルール見直し

2021年05月22日
 
こんにちは。名古屋市の税理士 米津晋次です。

短期退職の退職金について課税ルール見直し


短期離職の退職金に対する課税ルールの見直しにより、2022年(令和4年)分の退職金から、役員だけでなく、勤続年数5年以内の社員についても、税優遇の対象から外されることになりました。


退職金の税金


■税務上優遇されている退職金の税金


退職金は、リタイア後の生活保障のためのものであることから、通常の給料(給与所得)と比べて税金面で優遇されています。

具体的には、退職金(退職所得)は退職所得控除額を差し引いた後の額の2分の1にしか所得税はかかりません。

給料なら、給与所得控除を差し引いた残り全額に所得税がかかるのに対し、かなり優遇されていることがわかります。

※退職所得控除額
・勤続年数20年以下:40万円×勤続年数
・勤続年数20年超 :800万円+70万円×(勤続年数-20年)



(引用:国税庁)

■退職金の税金具体例

  ※所得控除なしで計算

※勤続年数30年、退職金2000万円の場合

・退職金2000万円−退職所得控除(800万円+70万円×(30年-20年)=500万円
・退職所得500万円×1/2=250万円

・所得税は、250万円×10%−97,500円=152,500円

※参考2000万円が給与収入の場合
・給与収入2000万円−給与所得控除195万円=1805万円

・所得税は、1805万円×40%−2,796,000円=4,424,000円


退職金の税金例外


■改正前の退職金の税金例外


ただし例外として、勤続年数5年以内の「役員」には2分の1だけを課税対象とするルールは適用されません。

なお、この例外は、役員に対する退職金だけが対象になっています。

■改正後の退職金の税金例外


これが、2022年(令和4年)分の退職金からは「役員」だけでなく「社員」についても勤続年数が5年以内なら税優遇の対象から外されることとなりました。




国税庁が2021年(令和3年)4月28日にまとめた「源泉所得税の改正のあらまし」に、改正後の退職所得の計算方法が示されているのでご確認ください。

 →源泉所得税の改正のあらまし(国税庁。PDFファイル)

この改正は、2022年(令和4年)分以後の所得税について適用されます。

今後は、社員の退職金から退職所得控除額を控除した残額が300万円超なら、退職所得は「退職金−(300万円十退職所得控除額)」と150万円の合計額となります。

国税庁の最新の資料で示された事例でみると、勤続年数が5年の社員の退職所得は650万円(=150万円+{1000万円−(300万円+200万円)}となります。

改正前の400万円(=(1000万円−200万円)×1/2)と比べて税負担か増すことになりますね。

 

【投稿者:税理士 米津晋次
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