《コラム》なぜか6月から給与の手取りが少なくなった?
こんにちは。税理士の米津晋次です。(名古屋税理士会所属)
6月分の給与が支給された方が多いのではないでしょうか。
なぜか、給与の手取り額が減っていませんか?
なぜ手取り額が減ったのでしょうか。
それは、6月から住民税が新しい税額になっているからです。
【住民税の課税タイミングが遅い】
各都道府県および各市町村では、今年1月に勤務先から提出される昨年分の給与支払報告書や税務署から回ってくる昨年分の所得税の確定申告書に基づいて、住民税の計算を行います。
ですから、この時期になって新年度の税額に変わるのです。
つまり、住民税は1月~12月の所得に対して、翌年6月~5月といった期間でかなり遅れて課税されるのです。
所得税なら、サラリーマンはその年分の税金はその年に徴収されますし、個人事業者の方も翌年3月又は4月には納税します。
同じ税金でも所得税と住民税では納税のタイミングがかなり異なります。
昨年給与が増えた方や、扶養家族が減った方などは、1年前より住民税が上がっているため、手取り額が減っています。
もし昨年より所得が減っている方は、所得の高い昨年分で計算された税額を所得が減った年に払うことになるため、納税が厳しくなってきています。
【今年は住民税が増税にもなっています】
それだけではありません。
じつは今年はさらに住民税が年1000円増税になっているのです。
それも、所得にかかわらず納税者に一律で課される「均等割」が都道府県分、市区町村分とも年間500円ずつ増えましたので、ほぼ全員の住民税が増税になったといっても過言ではありません。
この増税は、東日本大震災の復興増税の一環で、個人が納める住民税に上乗せをしているのです。全国の地方自治体が学校の耐震化や避難路の整備といった防災工事をする費用に充てるためだそうです。
身近に感じやすい「消費税」の増税ばかりに目が向かってしまいましたが、このように6月から住民税が年1000円増税になっている事はあまり知られていません。
いつの間にか住民税の増税が決まっていたのです。
【家計を圧迫する住民税増税】
4月からの消費税率アップに加えて、この住民税の増税はさらに家計を圧迫しています。
安倍首相が主張している賃金アップと実際に家庭で使える額との実感のギャップが大きくなっています。
特に低所得者にとってはとてもつらいことになっています。
【今年限りではない住民税増税】
しかも、この住民税の上乗せ納税は今年限りではありません。
今後10年間続くことになっています。
個人が支払う復興増税では、所得税が既に2013年1月から2.1%引き上げられています。これが25年間続きます。
この住民税の増税も10年間続きます。長いですね。
それに対して、企業が支払う復興特別法人税は2012年4月から3年間の予定で導入したが、法人税率を引き下げる代わりに1年前倒しで終わることになりました。
ちょっと納得できないですね。
【投稿者:税理士 米津晋次】