《コラム》早生まれは昔から損

2010/06/08 掲載

《コラム》早生まれは昔から損

 

◇早生まれは1年待たされる

所得控除において、特定扶養親族や老人控除対象配偶者や老人扶養親族に該当する年齢になると控除額が増える仕組みになっていますが、この判定は12月31日で行います。

したがって、早生まれの人は同級生がこれらの有利な控除を受けられることになっても、1年間待たされます。

その意味で、早生まれは損なのです。

◇早生まれは1年分損する

それだけでなく、早生まれの子を持つ親は特定扶養控除で公平に扱われていません。

平成22年までの制度で言えば、特定扶養控除は高卒なら高校3年間、大卒なら高校大学の7年間の教育費負担の家計への配慮として、扶養控除額を増やしてくれる趣旨で設けられていましたが、1月から3月の間に生まれた早生まれ組は、高卒なら高校2年生と3年生の2年間しか、大卒なら大学4年生になった年までの6年間しか特定扶養控除の適用がありません。

高校や大学を卒業して就職すると所得が生ずることになり、所得制限により扶養親族に該当しないことになるからです。(浪人して大学入学したり、大学院に進学したり、就職浪人したり、の場合には1年分の損は発生しません。)

◇早生まれは損の波及効果

所得税・住民税以外にも、国民健康保険料や国民年金保険料の減免制度、公営住宅の入居収入基準、ホームヘルプサービス事業費用負担基準、母子家庭に支給される児童扶養手当の額を確定するに当たっての所得基準、などで特定扶養親族該当・非該当が関わっています。

◇前政権時代からずっと放置されてきた

これらは明らかに法の下の不平等です。ただ、この課税上の不公平について、過去誰かが憲法違反といって争ったという形跡がありません。

しかし、1月から3月の早生まれ組は全体の4分の1を占めており、量としては大変多く、この制度的欠陥が認知されてしまうと、運が悪いから我慢しろと言うことでは済まなくなり、世論も容易にこれを是認しなくなるように思われます。