《コラム》更正の請求の原則と例外
2010/05/18 掲載
《コラム》更正の請求の原則と例外
◇更正の請求のできる期間の原則
所得税などの税金の増額修正は修正申告により納税者自らが行えますが、減額修正は税務署長にしか権限がありませんので、納税者は減額修正の請求を税務署長にすることになります。
これを更正の請求といいますが、それには期間制限があり、法定申告期限後1年以内とされています。
◇法定申告期限がない場合
給与所得者である納税者が医療費控除を受けるための平成21年分の還付申告書を平成22年4月10日に提出した、という場合、この申告書には法定申告期限がなく、期限後申告ということになるものではないので、この還付申告書についての更正の請求期限は、その申告書を提出した日から1年以内となり、平成23年4月10日が提出可能期限となります。
◇法定申告期限がない場合でも
先の例で、平成21年分の還付申告書を平成22年1月10日に提出した、という場合には、更正の請求期限は、申告書提出後1年以内の平成23年1月10日ではなく、一般の法定申告期限から1年以内のいずれか遅い日であれば行うことができる、とされているので平成23年3月15日が提出可能期限となります。
◇1年以上経過している場合でも
平成19年分の売上げを平成20年分に計上していたため、平成19年分について平成22年3月19日に修正申告書を提出したという場合、それに伴い、翌年分の平成20年分の確定申告に係る所得税の額が過大となるような時には、修正申告書を提出した日の翌日から2か月以内に限り平成20年分の所得税について更正の請求をすることができます。訴訟が確定したような場合も同じです。
◇更正の請求の撤回可能性
確定申告書は、提出と同時に所得税額が確定するため、原則として、撤回することはできません。(申告義務のないサラリーマンの申告書のみは例外的に撤回可能です。)
それに対し、請求や届出等は、「法律上の効果が発生するまでは撤回することができる」ものと解され、一旦提出した更正の請求書でも未だ更正処分が行われていない場合には、撤回することができます。