《コラム》会社名や屋号をどうするか(避けるべき会社名と望ましい会社名)
こんにちは。名古屋の税理士 米津晋次です。
会社を設立するときや、個人事業主が創業するときに頭を悩ますことのひとつに、
商号(会社名)や屋号があります。
これらは、一度決めたらそう頻繁に変更することはないため、結構悩む方が多いです。
目次
最近の新設法人の会社名に多く使われている単語
東京商工リサーチの調査によると、2015年に新たに設立された法人で、
最も多くの商号(会社名)に使われた単語は、「ライズ」だそうです。
「ライズ」の「上昇する」という意味が、新設法人の成長志向と活気を表しているものと考えられます。
ちなみに、同社の調査によると、2014年の新設法人の商号に最も多く使われた単語は「アシスト」でした。
「アシスト」は、英語で「力を貸す、手助けする、援助する」などを意味し、
社会に貢献するという企業理念を表していると思われます。
参考までに、2014年、2015年ともにベスト10に入っている単語には、
「アシスト」「ライズ」「ワイズ」「グローバー」「サンライズ」があります。
会社名にも人名と同様に流行というものがあるということですね。
お客様の会社名・屋号に多く使われている単語
新設法人ではありませんが、
よねづ税理士事務所と契約いただいているお客様の会社名・屋号でも簡単な統計をとってみました。
その結果は、次のとおりとなりました。(2018年5月再調査)
・1位「おひさま」:8
・2位「テック」 :4
・2位「工業」 :4
・4位「テクノ」「ライン」「サン」「ひかり」「商会」「サービス」「屋」:2
1位の「おひさま」は太陽光発電関連の会社です。
「テック」「テクノ」といった単語は、想像どおり技術系の会社ですが、技術をカタカナで表しています。
「サン」「ひかり」はいずれも太陽をイメージする単語です。
太陽の雄大さ=会社が大きく成長する、という意味を込めているのでしょうか。
なお、「サン」「ひかり」には太陽光発電の会社は含まれていません。
2社ずつある「工業」「商会」「屋」は、最近設立された会社には見られなくなりました。
会社名・屋号で避けるべきこと
私は、100社以上の設立に関わってきましたが、次のような会社名・屋号は避けるべきだと考えています。
・長過ぎるもの(書類に記入する際に記入欄の文字数オーバーになってしまう。記憶できない)
・アルファベット(読んでほしい会社名でない発音で呼ばれることが多い)
・業種が連想できない(どのような仕事をしているかわからない)
・難しい漢字を使う(読めない。書けない。パソコンで変換で出てこない)
・通常とは別のよみをさせる漢字を使う(読めない)
・造語を使う(記憶できない)
・言いにくい(早口言葉のように口が回らない)
・イメージに合わない
「通常とは別のよみをさせる漢字を使う」の意味がわからないかもしれません。
最近の赤ちゃんの名付けの例でいえば
「大翔」と書いて
「ひろと」「やまと」「はると」「おうが」「だいと」「つばさ」
などと読ませているそうです。
全く読めません!!そういう意味です。
望ましい会社名・屋号
望ましい会社名は、当然上記の逆ということで
・長すぎない
・アルファベットを使わない(ただし、誰でも知っているアルファベットの単語はOK)
・できるだけ業種を連想させる単語を含める
・優しい漢字を使う。よみが難しい場合は、ひらがなやカタカナにする。
・普通の読みの漢字を使う
・多くの人が知っている単語を使う(組み合わせもOK)
・言いやすい
・イメージに合っている
ということになります。
地域限定で商売する場合
地域限定で商売をする場合には、会社名に地域名を入れるといいと思います。
「◯◯◯名古屋」といったように。
地域名を前につけるより後ろにつけた方が、カッコいい感じがします。
会社名等に地域名を入れるメリットとして、
たとえばインターネットにおいて、
特に上位表示対策することなく地域名の検索ワードで上位表示されるということがあります。
これらの条件をすべて満たした会社名がいいのか?
それなら、このような条件をすべて満たした会社名ならいいかというと、
そうではなく、
あまりにも特徴のない会社名だと、それはそれで記憶に残りませんね。
同名の会社も多くなりがちです。
(人名の例では「山田太郎」さん)
さらに、インターネットのドメイン(URL、ホームページアドレス)も、
会社名のものが取得しにくでしょう。
そのあたりが難しいところです。
新元号をつける会社が増える?
2019年5月1日の新天皇即位に伴い元号が新しくなります。
「平成」に変わった直後に「平成」を会社名につけた会社が急増したそうですので、
2019年や2020年は、新元号を会社名に使用する会社も増えそうです。
つけたい会社名等をインターネットで検索してみる
新会社法施行後は、法務局で類似商号を調査しなくても会社を設立できるようになっています。
それでも、類似商号の問題が発生する場合があります。
最低限、候補の会社名をインターネットの検索エンジンで検索してみましょう。
その結果、もし同業種で所在地も近いところが出てきたら、損害賠償請求をされる可能性がありますので、変更をおすすめします。
新会社法では、次のように規定しています。
「何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。」(第8条第1項)
要は、ユーザーがあのA社だと思ったら別のA社だったということがないように、ということです。
【投稿者:税理士 米津晋次】