税金の雑学
目次
■犬の税金
内閣府の「動物愛護に関する世論調査」によれば、犬をペットとして飼っている人の割合は年々増加してきています。
平成15年に行われた調査でみると、ペットを飼っている人の実に62.4%が「犬」を飼っていて、2位以下の「猫」(29.2%)、「魚類」(11.7%)を大きく引き離して1位となっています。
これだけ人々に愛されている犬ですが、そんな犬に対して税金を課している国が世界にはあるのです。
ドイツでは、飼い犬の数に応じた税金が市町村税として犬の飼い主に対して課されます。これは別にドイツ人が犬が嫌いというわけではなく、犬はふんなどによって街を汚すため、地方自治体がその清掃などの費用をまかなうために、汚染源となっている犬に税金を課しているというのが実際です。
ドイツだけでなく、オーストリア、オランダ、フィンランドでも地方税として犬税が課されています。
実は日本でも昭和57年まで、市町村税として犬税が設けられていました。昭和30年度の数値でみると、実に2,686もの市町村で犬税が課されていたようです。
犬に対して課税している国が多々見受けられる一方で、猫に対して課税している国は見当たりません。日本においても猫には課税したことがありません。
猫に対する税金が見当たらないのは、犬と違って猫は誰が所有しているのかはっきりしないから、といわれています。私の知り合いの飼っている猫は確かにあちこちの家で食べ物をもらっているとのこと。きっとそれぞれの家で名前がついているのでしょうね。
■離婚の際の財産分与に税金はかかるの?
離婚にともない財産分与をする場合にも、税金がかかることがあります。財産分与をする側と受ける側に分けて説明します。
【支払う側の税金】
現金で支払う場合には、課税されません。
不動産を財産分与した場合には、資産の譲渡にあたるとして、譲渡所得に対して所得税がかかる場合があります。不動産を売却して得た現金を財産分与した、と考えるからです。
また、株式、ゴルフ会員権などを財産分与した場合にも、譲渡所得が発生すれば、所得税が課税されます。
【受ける側の税金】
財産分与を現金で受け取る場合には、その財産分与の額が、夫婦が協力して得た婚姻中の財産の額や社会的地位からして、夫婦共有財産の清算として相当な額であれば、贈与税も所得税もかかりません。不動産を財産分与された場合には、不動産取得税がかかります。
■特定扶養親族などの判定でなぜ誕生日が1日ずれるのか?
老人扶養親族や特定扶養親族を判定する際の誕生日の範囲は、通常の概念と1日ずれています。
老人扶養親族や老人控除対象配偶者の該当者は、扶養親族のうち年齢70歳以上の人なのですが、具体的には平成18年においては、昭和12年1月1日以前に生まれた人になります。
特定扶養親族の該当者は、扶養親族のうち年齢16歳以上23歳未満の人なのですが、具体的には平成18年においては、昭和59年1月2日から平成3年1月1日までの間に生まれた人なのです。
通常の年齢の概念からすれば、70歳以上の人といえば昭和11年12月31日以前に生まれ人となり、16歳以上23歳未満の人といえば、昭和59年1月1日から平成2年12月31日までの間に生まれた人と考えませんか。 両者には1日のずれが生じているのです。
この1日にずれの原因を調べてみました。
年齢計算ニ関スル法律第2項及び民法第143条の規定により、起算日(誕生日)の応答日の前日をもって期間が満了するとされているのが原因でした。
つまり、1月1日が誕生日の人が1歳年をとるのは1月1日でなく、その前日の12月31日ということになるのです。年末調整における老人扶養親族や特定扶養親族の判定では、1月1日生まれの人について間違えないようにして下さいね。
■配偶者控除や扶養控除などの所得控除の判定日はいつ?
配偶者控除や扶養控除など、所得税には各種の所得控除が設けられていますが、これら所得控除の適用があるかどうかの判定は、その年の12月31日における現況により行うのが原則的な取扱いとなっています。
したがって、大晦日の12月31日に生まれた子どもはたった1日でもその年の扶養控除の対象となりますし、大晦日の31日に結婚すれば、その妻(夫)は婚姻期間が1日でも所得金額が38万円以下であればその年の配偶者控除の対象となるのです。
ただ、これには例外もあります。
例えば、年の途中で配偶者や子供が死亡した場合には、12月31日時点で判定するのでなく、配偶者や子供などが死亡した時点の状況によって行うことになります。
したがって、死亡した時点において生計が一で、かつ所得要件を満たしていれば、その年の所得税では、配偶者控除や扶養控除が適用されることになります。
■各国で異なる課税単位
日本は、個人を単位として所得税を計算しますが、どの国も同じではありません。
主要国の中で、日本と同じように個人単位課税なのは、イギリスぐらいです。アメリカ、ドイツでは、夫婦単位と個人単位との選択制となっています。
夫婦単位というのは、夫婦の所得を合算して課税を行う方法です。
なお、同じ夫婦単位課税でも、ドイツは独身者と夫婦に対して同一の税率表を適用する単一税率表制度をとっていますが、アメリカは、独身者と夫婦に対して異なる税率表を適用しています。
フランスの課税単位はさらに広く、家族を課税単位としています。
このように、主要国でも課税単位が異なっているのです。
夫婦単位課税や家族単位課税になれば、税金については「壁」というものがなくなります。個人単位課税だからこそ、扶養の恩恵を最大限に受けようとして皆さんが迷うのです。
日本においても、現行の個人単位が適当なのか、夫婦単位に変更するのがよいのかについて以前から議論がされてきていますが、どちらも一長一短で結論が出ていません。